井戸ポンプとは、何らかの思い入れがあって残そうとしなければ消えて行くものでしょう。
ですから、そのような思い入れのない普通の地方都市で井戸ポンプを見つけるのは、かなり大変です。
現役ならまず電動ポンプになっています。
用済みなら邪魔なだけ、サッサと蓋をして『封印』してしまいます。
我が町水戸も状況は同じ。
しかも、水戸には江戸初期に黄門様により暗渠式の水道が出来ており、加えて空襲で町は丸焼けとなりましたから、
街中でポンプ井戸を見つけるのは、まず不可能と言ってもよいくらい。
しかし、井戸人の端くれとしてどうしてもポンプ井戸を見つけたい。
考えました。
・水道の普及が遅く、生活用水の確保に井戸が必須だったところ。
・埋め立て地ではなく、掘って良い水が出るところ。
・空襲を逃れた古い町並みが残っているところ。
・家々の敷地が広く、中心街から外れていてバブルを逃れ、井戸くらい残せるゆとりがあるところ。
地方でそんな条件を満足するところとは...
旧街道筋では?
そんな推理をもとに、旧水戸街道(江戸街道)をたどってみました。
水戸の下町にある江戸街道の起点、そこには宿場跡の碑と黄門様が作らせた『笠原水道』の遺構
(明治時代の水栓)がありました。 春立てる霞の空の下、ここより千住という所に向けて出発です。
故郷の町並みに別れの涙を注ぐ暇もなく、スタートしてすぐの繁華街の外れ登り坂の麓に、早速一基目を見つけました。
街道筋というねらいは当たったようです。
この井戸、煉瓦造りの井筒がいい。
しばらく歩いた街道筋のお米屋さんの駐車場。
「この井戸は深くてね。近所が涸れてもこれだけは出たんですよ。」とご主人。
街道をちょっと脇に入ったお屋敷の奥、深窓の令嬢二人。
トレードマークを拡大してみました。
いささか判読困難。
下には「特製」らしき文字。
幅広い国道を越して道は少し狭くなり、『一里塚』に到着。 馬頭観音もありました。
街中を離れ、あたりは畑もちらほら。
いよいよ今回の目玉登場。
広いお宅の庭先にドンと据えられていた『大黒号』です。
ハンドルが残っていれば最高でしたが。
水戸を出て最初の宿場は『長岡宿』。
ここには『桜田門外の変』の際、江戸へ向けて出発する水戸浪士が集合した旅籠の建物が残っています。
この旅籠の水戸寄り、道路沿いの店先に井戸を発見。「注意」とありました。井戸人には何とも親切なことで。
井戸はチラホラ見かけるのですが、ポンプはない。
やっと見つけた一基、これはあまりにも可哀想...
街道裏、農家の庭先です。
この宿場でポンプは一基しか見つけられないまま、ひとまず終点です。
長岡宿の脇本陣、『木村家住宅』とその井戸です。
この先、道は水田地帯に向けて下り坂になります。
これから先、しばらく井戸は期待薄でしょう。
道中、手押しポンプのない井戸は十五基もありました。代表選手に登場してもらいます。
この井戸には立派な屋根がついています。
井筒も大谷石。これで手押しポンプならば言うことナシですが。
お花とお話し、いいでしょ?
造成地にチャンと残された井戸。ここには、きっと古いお屋敷があったのでしょうね。
いかにも田舎の井戸、心和みます。釣瓶があれば絵になるのですが、残念。
もう少し歩きたかったのですが、疲れました。続きは又の機会ということで一気に終点へ。
黄門様槍かけの松で有名な千住清亮寺の井戸です。
北千住、荒川に近いこの場所で、
日光街道から別れて水戸街道が始まります。
意外に細い道です。
少し歩けば、清亮寺。
水戸から南西方向、常磐線の小さな駅『岩間』へと走る岩間街道。
街道の終点となる駅前通りの店で、優しいおばさんに撮らせて頂きました。
井戸人 | 黄門様の井戸 | 最後の将軍の井戸 | 御厩長屋の二つ井戸 | 飲めない井戸 | 妻恋坂の井戸 | 井戸の島『佃』 |
---|